2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

メタ認知

学習方略(ストラテジー)はさまざま考案されていますが、どのストラテジーが合っているかは人によります。そこで、学習者は自分を客観的に分析し、ストラテジーの選択や効果検証をおこなう必要があります。このような一段上から自分を捉えることをメタ認知…

記憶と言語習得

人間が瞬間的に記憶できる情報は7個くらいという話をご存知でしょうか。例えば、7桁の数字であれば多くの人が瞬間的に覚えることができますが、携帯番号のように11桁の数字になると覚えることができる人の割合が極端に下がります。ところが、私たちは実…

英語を学習する際に意識しておくべき3つの欲求

3つの心理的欲求(three psychological needs)と呼ばれる欲求がありまして、これが多くの人が生まれつき持っている動機づけの要因とされています。 1. 自律性(autonomy)の欲求自分の行動にたいして責任を持ちたいという欲求です。言われてやるより、自分…

あなたはなぜ英語を勉強するのですか

第二言語習得において、習得プロセスの解明と同じように重要な分野が「動機」です。モチベーションですね。学習者がどのようなモチベーションで動いているのか研究がおこなわれていて、動機を大きく2つに分類しています。 1. 統合的動機(integrative motiv…

アウトプットの方法

アウトプットは言語習得の認知プロセス(気づき→理解→内在化→統合)を効率的に促進する役割があります。では、どのようにアウトプットをおこなえば良いのでしょうか。いくつかアウトプットのやり方を紹介します。 英語をつかってグループでコミュニケーショ…

アウトプットしないとダメなのか

アウトプット仮説と呼ばれる説があります。これはインプットだけではなく、アウトプットによって言語習得が促進されると主張する説です。実際に、アウトプットをまったくおこなわない場合にある程度言語習得が止まってしまう事例がいくつも確認されています…

アウトプットのプロセス

言語をどのようにしてアウトプットしているのか理論的に示したモデルがあり、これは「スピーチプロダクション・モデル」と呼ばれます。 スピーチプロダクション・モデルでは下記のようなプロセスを経て言語がアウトプットされます: 1. 概念化(conceptualize…

アウトプットする勇気

インプットが重要だと言うのは誰しもが認めるところで、インプットによって学習がスタートしますが、その効果はアウトプットによって検証され、効果的なフィードバックを得ることができます。つまり、アウトプットも同様にとても重要だということです。 イン…

臨界期仮説 〜子どもに有利な学習環境と大人に有利な学習環境〜

言語学習に有利なのは子どもたちだという仮説があります。12〜13歳の思春期までの子どものほうが英語の習得が早いというやつです。これは「臨界期仮説」と呼ばれます。 じつは子供と大人では得意とする学習が異なります。子どもが得意なのは「暗示的学習…

インプットのコツ

まずもってインプットは理解可能であることが重要です。理解できないインプットをどんなにやっても「気づき」につながらないため、たいした効果は見込めません。 また、インプットは自分が興味をもっている分野でおこなうのが良いでしょう。学習者がインプッ…

質の高いインプット

英語の習得は、第二言語習得の認知プロセス(気づき→理解→内在化→統合)をいかにスムーズにおこなえるかにかかっています。そこで、認知プロセスの効率化にとってどのようなインプットが必要になるのか考えてみましょう。 1) 気づき気づきを喚起するために、…

インプットの役割

英語の習得において、インプットは必ず必要です。第二言語習得の認知プロセスを簡略化すると下記のようになります: インプット↓中間言語↓アウトプット そして、気づき→理解→内在化がおこなわれる中でどんどん情報は抜けていってしまいます。 インプットの量…

英語習得は何時間かかるのか

第二言語習得に必要なのはインプットです。そこでどのくらいのインプットが必要なのか考えるために、まずは第一言語(母語)の習得に私たちがどのくらいの時間をかけたのか見てみましょう。 幼児は5歳になるまでにおよそ1万7520時間も母語によるインプ…

言語習得の才能とは

第二言語習得研究では、語学の才能のことを「言語適正」(language apitude)という分野で扱います。研究の結果、言語適正が学習成果に与える影響は大きいということがわかっています。つまり、語学の才能というのは存在し、才能がある者が有利に学習をすす…

認知プロセスの締めくくり

中間言語を構築するまでのプロセスは「気づき」→「理解」→「内在化」でした。このプロセスは最後に「統合」(integration)で締めくくられます。 「統合」では取り込んだ情報を長期記憶に保持します。既存の中間言語体型を再構築して、処理の自動化へと導く…

中間言語への取り込み

第二言語習得において学習者がたどる習得プロセスというものが存在します。大雑把に言うと、中間言語の構築を挟むモデルなわけですが、どのように中間言語が構築されるのかについても研究が進んでいます。こちらです: 1. 気づき (noticing)↓2. 理解 (comp…

文法形態要素の習得順序

中間言語は母語に影響されず、すべての学習者共通のプロセスを経て形成されます。この形成プロセスを分析することで、普遍的な学習メソッドの構築が可能となります。普遍的なものを調整し、学習者毎に最適化された学習メソッドを組み立てることができるわけ…

中間言語

さまざまな国籍、国語をもつ学習者たちは、難易度の違いこそあれ、共通のプロセスで第二言語を習得していきます。「過度の一般化」と呼ばれる現象もその1つでした。この言語習得における共通のプロセスについて考えてみましょう。 英語を学習するとき、もっ…

誤答分析

日本人にとって英語学習は難しい。これは言語間の距離で説明ができます。ただ、言語間の距離が近い=英語の習熟に有利な学習者でも、日本人でも同様に起こるミスというのがあります。 たとえば、過去形の「ed」。「start」を過去形にすると「started」ですが…

英語はどのくらい難しいか

日本人が英語が苦手、という話はよく聞きます。とくにスピーキング能力においては目も当てられないと。本当なのでしょうか。 アジア諸国におけるTOEFL iBT®の平均値というデータがありまして、2007年と少し古いですが、日本人の平均スコアは下記の通りです: …

英語の威力

英語学習者にとって、英語の価値はとても興味があることだと思います。言語の価値を決めるのは簡単ではないですが、シンプルに利用状況を他の言語と比べてみることにしましょう。 世界で英語を話す人は約15億人です。これは、母国語として利用する人も、第二…

ビギナーズフェーズのトレーニング: ビギナーズグラマー

ビギナーズフェーズにおけるフェーズ1、ビギナーズグラマーについて説明します。 フェーズ1:・発音記号をマスターする・ビギナーズグラマーを覚える ビギナーズグラマーとはこれから英語学習をはじめるにあたって最低限覚えておくべき文法です。ここで言う「…

ビギナーズフェーズのトレーニング: 発音記号

ビギナーズフェーズのトレーニング内容はいくつかの段階に分かれます。まずはフェーズ1をご紹介しましょう。 フェーズ1:・発音記号をマスターする・ビギナーズグラマーを覚える フェーズ1は上記2つのトレーニングを含みます。今回は「発音記号をマスターする…

ビギナーズフェーズとマスターズフェーズ

英語学習において、学習者がおこなうべきトレーニングは大きく2つの段階に分けられます。初学者から中級者までのビギナーズフェーズ。そして、中級者から上級者までのマスターズフェーズです。 目安としてTOEICのスコアで言うと、ビギナーズフェーズとマス…

英語ができるようになるために

英語学習とはトレーニングによって(もしくはダイエットによって)肉体を改造し、シェイプアップした肉体をつかって競技をおこなうこととほとんど同じです。そういう意味では「学習」という言葉は誤解をあたえるかもしれません。これはとても大事なことです…