あなたはなぜ英語を勉強するのですか

第二言語習得において、習得プロセスの解明と同じように重要な分野が「動機」です。モチベーションですね。学習者がどのようなモチベーションで動いているのか研究がおこなわれていて、動機を大きく2つに分類しています。

 

1. 統合的動機(integrative motive)
第二言語社会や文化に同化・統合しようとする態度です。英語で映画をみたり本を読んだり、コミュニケーションを取ったり、旅行したりと、特定の目的というよりも体験や同化の達成をモチベーションにしています。

 

2. 道具的動機(instrumental motive)
何らかの実利的目的を達成しようとする態度です。就職や昇給などの経済的インセンティブのようなものを得ることがモチベーションになっています。

 

上記2つの動機も細分化して研究されていますが、ここでは大枠として捉えていて問題ないです。重要なポイントはモチベーションが下がるときにどう対処するかです。

 

動機というのは誰しも1つしか持てないわけではなく、通常複数の動機で英語を学習しています。そして、動機の数が少なければ少ないほど、モチベーションを失いやすいという結果がでています。動機の数が多い=モチベーションが安定する、と考えることができるでしょう。

 

とくに統合的動機のみ、もしくは道具的動機のみだとモチベーションを失いやすい。たとえば、統合的動機で学習している人たちは英語が思ったほど上達しないことでモチベーションが下がります。言語習得は容易ではないため、英語社会や文化を体験・同化できる状態になるには相当な努力が必要です。要するに、目標が高すぎてやる気がなくなるパターンですね。

 

道具的動機の場合だと、たとえばTOEICで目標のスコアを達成した等でその後の英語学習のモチベーションが失われる等のケースがあります。こちらは英語自体は未熟でも、ある程度の努力や対策によって成し遂げやすい目標を設定した場合に、その時点でモチベーションが下がってしまうパターンです。

 

うまく道具的動機で小刻みな目標を設定し、統合的動機で長くモチベーションを維持するという工夫が必要ですね。